出口に戦略なんて必要なのか?

この記事はいろいろ面白いです。
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黒田総裁就任からの大規模緩和は、2017年春で4年を超え、足元で国債買い入れは年60兆円ペースにスローダウンしているとはいえ、日銀保有国債は3月末で400兆円を超えている。

金利ターゲットの設定によって、買い入れ額が減少しているとのこと。
リフレ派は、金利ターゲットが追加緩和になるとか、すでに追加緩和になっているとかウソをついてしましたが、通常の経済学的理解のとおり、引き締めになっているということ。
名目成長率がゼロになるのも当然。
だいたい、金利が下がらないようにしたのに追加緩和になるわけがないんで、リフレ派の思考の奇妙さがよく表れています。

財務省の試算(2016年10月公表)によると、日本の国債金利が1%上昇すると、金融機関などの含み損は国内総生産GDP)の13.5%になるという。

民間銀行についても日銀についても、含み損が問題になるという記述があるんですが、「問題にしなければいいでしょ」と思います。
金融政策が奏功して、ゼロ金利国債を抱えたままどんどん景気がよくなって利子率が上がってしまうという状況が出てくるかもしれないのですが、金融危機を起こすわけにはいかないのですから、どのみち政府と日銀が何とかすることになるでしょう。
で、何とかするのは容易なので、含み損うんぬんはどうでも良い話なんですよね。
含み損が出るなら、政府が新たに発行する国債と交換すればいいだけなので、問題はまったく発生しません。

日銀の抱える含み損は20兆円以上という計算。日銀の自己資本(2016年9月末)は7兆6764億円だから、実質債務超過に陥りかねないのだ。中央銀行の信任が揺らげば、企業業績にプラスと言われているレベルを超えた激しい円安、輸入物価の高騰からハイパーインフレへと、日本経済は大混乱に陥らないとも限らない。

そんなことには絶対になりません。
日銀が債務超過に陥るというのは、貨幣を余計に出しているというだけの話。貨幣が日銀の債務ですから。
そんなことで潰れるわけないし、潰そうと思っても潰せないんですよね。
貨幣の発行主体を名目値で潰せるわけがないんですよ。
問題があるとすればインフレ高進ですが、20兆円程度のマネタリーベースでインフレ高進なんてしないでしょう。

米国の利上げに動いているうちに日銀が出口に動かないと、海外経済が変調をきたして米国が緩和に反転しようものなら、日銀は緩和からの出口を展望できない「永遠のゼロ(金利)」に陥りかねないと警告し、今のうちに出口に向かうべきだと訴えている。

これもねえ。
銀行のシンクタンクの言うことは、どうしてこうも胡散臭いのでしょうか。
アメリカが金融緩和しようがしまいが、日銀のスタンスとは無関係でいられます。
アメリカが緩和して、日銀が引き締めする場合、たしかに円高やインフレ引き下げにつながりますが、日銀が引き締める場合には国内の景気が相当に良くなっているときなのですから、そのことによっていきなり不景気やデフレになったりすることはないでしょう。
よしんば、その場合に日銀も緩和に転じて、永遠のゼロ金利になったとして、それで何が問題なのでしょうね。
ゼロ金利だから悪いという理由が挙げられるのでしょうか。
それに、金利は金融政策だけで決まるわけではないので、金融緩和していても金利がゼロではない状態も考えられます。