【TPP】これだけの配慮でなぜ反対?

TPP交渉参加表明への反対はまだそれほど盛り上がっていないですし、今後もの凄く激しい反対が巻き起こるかどうかわからないですけれども、反対がさほど起こらないのも当然で、自民党の決議文を見たら、「これだけ配慮されていれば害はほとんど無いだろう」と思わされる内容。

TPPに関して守り抜くべき国益

政権公約に記された6項目関連
  1. 農林水産品における関税=コメ、麦、牛肉、乳製品、砂糖等の農林水産物の重要品目が、引き続き再生産可能となるよう除外または再協議の対象となること
  2. 自動車等の安全基準、環境基準、数値目標等=自動車における排ガス規制、安全基準認証、税制、軽自動車優遇等のわが国固有の安全基準、環境基準等を損なわないこと、および自由貿易の理念に反する工業製品の数値目標は受け入れないこと
  3. 国民皆保険、公的薬価制度=公的な医療給付範囲を維持すること。医療機関経営への営利企業参入、混合診療の全面解禁を許さないこと。公的薬価算定の仕組みを改悪しないこと
  4. 食の安全安心の基準=残留農薬・食品添加物の基準、遺伝子組み換え食品の表示義務、輸入原材料の原産地表示、BSE(牛海綿状脳症)基準等において、食の安全安心が損なわれないこと
  5. ISD(投資者・国家訴訟制度)条項=国の主権を損なうISD条項は合意しないこと
  6. 政府調達・金融サービス業=政府調達および、かんぽ、郵貯、共済等の金融サービス等の在り方についてはわが国の特性を踏まえること
  • 医薬品の特許権、著作権等=薬事政策の阻害につながる医薬品の特許権の保護強化や国際収支の悪化につながる著作権の保護強化等については合意しないこと
  • 事務所開設規制、資格相互承認等=弁護士の事務所開設規制、医師・看護師・介護福祉士・エンジニア・建築家・公認会計士・税理士等の資格制度についてわが国の特性を踏まえること
  • 漁業補助金等=漁業補助金等における国の政策決定権を維持すること
  • メディア=放送事業における外資規制、新聞・雑誌・書籍の再販制度や宅配についてはわが国の特性を踏まえること
  • 公営企業等と民間企業との競争条件=公営企業等と民間企業との競争条件については、JT・NTT・NHK・JRをはじめ、わが国の特性を踏まえること

「国柄が変えられてしまう」などと大騒ぎする人たちがいますが、私なんかから見ると「何も変わらないじゃないか」と残念なくらいです。
これらの条件が満たされなければ締結しないと言っているのですから、農業でも金融でもアメリカが日本を「食い物」にする余地はありませんね。
これだけウジャウジャと条件をつけても「交渉参加を歓迎する」と米国政府は述べているのですから、「食い物」にすることに関心を持っていないようです。
アメリカはもともと自力で回復の途上にあるのですから、日本を食らう必要などありませんし、同盟国を弱体化させるようなことをするはずがないでしょう。
「TPPはアメリカが日本を標的にしているのだ」と主張する人々は、米国がEUとも自由貿易協定を結ぶ構想を持っていることをどう説明するのでしょうか。
EUはアメリカより少し大きな経済規模を持つ地域ですから、GDPが米国の関心の基準になるなら、日本よりもEUを「食い物」にすることを狙うと思います。