財政出動をしたのに、需給ギャップが拡大している

需給ギャップは財政でしか埋められない」とか「金融政策は雇用に効き、財政政策はGDPに効く」などというデタラメがまかり通る世の中ですが、こういうものは当然のことながら、現実と折り合いません。
今に始まったことではありませんが、今年度の4~6月期にも、財政出動をしたにも関わらず、需給ギャップが開くという結果がでました。
今週の指標 No.1150- 内閣府
財政出動をしたからギャップが開いた、とまでは言いませんが、過去のデータを見ると、財政出動需給ギャップは関係ありません。
積極財政主義者も、たまにはデータをみましょう。

出速度うんぬん

「デフレから脱出するに足るだけの財政出動をしなければ何度やっても無駄」という妄説も唱えられていますが、これまた経済学的根拠は何もありません。
クルーグマン氏がそのように言ったのかもしれませんが、経済学者が常に経済学的根拠のあることを言うわけではありません。
日本でも海外でも、経済学者は自分の意見や感想を言うものであり、きちんとした論文や教科書執筆とは分けています。
バーナンキ氏も、学者としてはいろいろ奇抜なアイデアを出しますが、FRB議長を務めていたころには、そのような奇抜な政策は一切行いませんでした。
そのへんの区別がつかないところが日本人のコミュ障なところで、向こうは腹のなかでは「本気にするなよw」と笑っていることでしょう。
私が分からないのは、「デフレから脱出するに足るだけの財政出動」の額というのは、脱出してみないと判明しないものであるのに、どうやって額が事前に分かるのか、ということであります。
積極財政主義者は、「一年に50兆円でも100兆円でも財政出動すればいいだろう」と言うでしょうが、支出すること自体がおそらく無理でしょう。
これまでにも本予算も補正予算も、東日本大震災の復興予算ですら使い切れずに余らせているくらいですから、「脱出速度」に足るだけの予算を用意しても使えないと思われます。
というよりも、現状で予算が余っているのに、財政支出で景気が回復できると主張すること自体が矛盾しているのです。
景気が大して良くもないのに予算が余るということは、財政資金はさほど必要ないということを表しているのです。