積極財政主義が消費増税を招く

2014年の消費増税のときに賛成にまわった山本幸三議員が、一時は反対派になったものの、またも消費増税賛成にまわるという手のひら返しを行いました。
山本議員の動向には、増税が行われるときには賛成、延期されるときには反対、という具合に勝ち馬に乗り続ける戦略が見て取れますから、2017年の増税も行われる気配が強まったと見て良いのでしょう。
山本議員は巷間、「経済学や経済政策に詳しい」という評判をとっていますが、実際には場当たり的で聞きかじりの知識を振り回しているにすぎず、これまでにも質の低い経済談義を繰り広げてきました。
見かけだけのいい加減な主張をする人間を神輿に担いで、いざというときに大失態に見舞われるというパターンは田母神と同じでありますが、今回山本氏が展開している消費増税賛成論は、積極財政主義者の主張をうまく利用したものになっています。

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1)増税は予定通り実施し、当面10%で打ち止めと宣言
2)16年度補正予算で10兆円の景気対策と5━10兆円の熊本地震対策基金を設立
3)17年度10兆円、18年度7兆円を本予算に計上、消費増税分はすべて還元する形で給付金約4兆円を支給
4)給付金は年金生活者・低所得者・子育て世代中心に所得再分配政策として実施し、住宅・自動車購入者に2%分還付
5)財源はマイナス金利を活用し、原則国債発行

上記提言のうち1以外は積極財政主義者の意見ときわめて類似したものになっています。
積極財政主義者は山本氏の提言にどのように反論するのでしょうか?
これらの提言を実行しても消費増税の悪影響を消すことはできない、と反論してしまうと、それはそのまま、積極財政主義者が2014年の消費税による悪影響を打ち消すものとして挙げてきた政策にも効果がないということになってしまいます。
「2014年の増税では対策の量が足りなかった」とか「財政の失敗には財政で対処するしかない。金融政策は効かない」と積極財政主義者は主張してきましたが、山本氏の提言は2017年の増税の悪影響を打ち消すのに量的には「十分」であるはずですから、山本氏の増税論に賛成するしかなくなってしまいますね。
或いは、山本氏の提言を凌駕するような量を提案するのでしょうか?
30兆?40兆?
既得権者は大喜びするでしょう。
積極財政に固執する限り、結局は一般国民を苦しめて、既得権に奉仕することになるわけですね。
ま、積極財政主義者は山本氏の提言を無視するだけでしょう。
都合の悪いことにはすべて頬かむりをしてしまいますから、積極財政主義者は論理的に負けることはありません。