国債増発、財政で「景気対策」

2015年のGDPが出まして、実質GDPはかろうじてプラス成長、名目はここ20年で最も良い数字でした。
この一年は「緊縮財政をしているから景気後退」とか「消費が伸びないと経済は拡大しない」とか「財政をやらないとデフレ脱却は不可能」とかさんざん言われていましたが、蓋をあけてみれば金融政策の力によって経済は拡大しています。
もちろん、これから改定が入るでしょうから、実はマイナス成長でした、ということもありうるのでしょうから、ほどほどにしておきますが・・・
日銀がマイナス金利を導入したことで、「国債を増発せよ」という意見が出ています。*1
マイナス金利国債を発行すると財政再建が進むという不思議な世界に突入しているので、これをいい機会に増発しようということだろうと思いますが、結局は日銀が買うことになるのですから、大丈夫なのかという懸念はやっぱり残ります。
FEDの政策と中国問題*2によって2016年はけっこう問題が起こりそうなので、金融緩和量の増加が必要なのかな、と思うので国債増発も良いのかな、と思いますが、もともと「金利を下げる」と言いながら金融緩和してきたのに、逆行するようなことをするのは良いんだっけ、という疑問も残ります。
そもそも、短期国債を発行して非不胎化為替介入をすれば同じことじゃないかという意見も出ていて、もっともだなぁと思いますし、為替介入がイカンという国際常識が出来ている理由が分かりません。何がいけないんでしょう。
国際機関で話し合って、こういう変な常識は撤廃して欲しいと思います。
また、国債を増発して財政で景気対策するという案への懸念はもう一つあって、財政政策は基本的に政府支出が主になってしまうということです。
この間の補正予算も9割が経済対策に名を借りたいかがわしい政府支出で、在野リフレ派が推している給付金は1割しかありませんでした。
1割でも出したのは安倍政権の良心だと思いますが、財政政策は結局、権益目当ての官僚・政治家・特権業界のパワーで決まってしまうので、在野リフレ派がいくら良い財政政策を提案したところで、それを実現するパワーがそこには存在しません。
わざわざ国債を増発しても、それが既得権の金持ちの懐に入る部分が大きいのでは、景気対策にはなりません。
この、パワーの問題を解決する手立てがない現状で財政政策を呼びかけるのは無責任ではないかと思います。
そのような弊害からフリーに実行できる金融政策があるのですし、現に効果が出ているのですから、ことさら財政に頼る必要はなかろうと思います。
もちろん、選挙前にもう一度補正予算を組んで、それがほとんど給付金、ということなら安倍政権4つめのミラクルとして賛成するのですけれども、財政再建の建前もあるなか、実現可能性はあまり無いような気がします。

*1:マイナス金利なんぞ効果はない」と腐していた人たちに限って何故か都合よくこのように言っていますが。

*2:この2つはリンクしているっぽい