子育て・保育園問題

「産め」の次は「働け」?配偶者控除見直し?安倍政権なに言ってんだ!保育園整備が先だろ!――ワーキングマザーぶちまけ座談会|配偶者控除見直しの是非を考える|ダイヤモンド・オンライン
リンク先の記事、気軽に考え過ぎ。アンチ安倍政権のプロパガンダ記事と思われても仕方がない。

引用

社会保障亡国論 (講談社現代新書)

社会保障亡国論 (講談社現代新書)

  • 認可保育園は税金を注入されているがゆえに非効率で、非常な高コスト体質であり、各自治体は増やすことが難しい。増やせば財政負担が重くなる。
  • これはレントが生じる構造であり、強力な業界団体が形成されている。彼らは既得権益を守るために新規参入に対して反対している。
  • 公立認可保育園の運営費は年間1兆700億円かかるが、そのうち親から徴収できるのは2100億円のみ。残りは税金で穴埋め。
  • 私立認可保育園の運営費は1兆2600億円。親から徴収できるのは3300億円。残りは税金で穴埋め。
  • 保育園の高コスト。公立の場合、0歳児一人あたり50万円、私立の場合、30万円。
  • 私立認可保育園であっても、建物代の87.5%は税金で負担している。財政負担がおもすぎるため、保育園を増やすことに自治体が躊躇する。
  • 私立認可保育園の9割を占める社会福祉法人では、保育士に低賃金を強いる一方で、園長や理事は高額の報酬を得ている場合が多い。その上、相続税は一切かからない。
  • 社会福祉法人の場合、経営者は自分の子供に相続させる以上の保育園を造る意味がないので、保育園の数が増えにくい構造になっている。
  • 「保育に欠ける要件」。保育園に入る審査では、両親共にフルタイムで働く正社員家庭が、「保育に欠ける要件」を持つとして、優先されている。この要件によって、非正規雇用者の家庭は認可保育園に入りにくくなっている。それゆえ、非正規雇用者ほど、料金の高い無認可保育園を利用しなければならなくなっている。
  • 対策。保育園運営母体の参入規制を取り払う。保育園の供給量が増加する。株式会社が保育園の運営に参加すると、公費で補助する必要がないため、自治体の財政負担が減る。浮いたカネで公立保育園を建設することができる。
  • 形式上は現在でも株式会社が参入することができるが、実質的な参入規制がある。株式での資金調達の禁止、配当の禁止。内部留保を新たな保育園をつくる投資にしか使えないようにする規制。企業会計のほか、社会福祉法人会計をもつくらなくてはならない。社会福祉法人は免税だが、株式会社には課税される。地方自治体の独自判断によって、株式会社の参入を拒否できる。
  • 保育園の利用料金を自由化し、低所得者対策として保育園利用券を配布する。
  • 利用券の配布に際しては、保育園の質を行政が審査する。劣悪な保育園には券を利用できないようにする。
  • 利用料金が自由化されていれば、保育士の賃金を上げた分を利用料金に上乗せできるため、普通の経営ができる。現状では保育園の利用料金が公定されているため、普通の経営ができない。
  • これらの、保育園を増加させる施策に必要な追加費用は1200億円程度にすぎず、財源は障害にならない。

これらの改革がなされないのは、政府の規制改革会議に業界団体が入ってしまっているから。
保育園は、参入規制と公費投入、免税によって多額のレントが発生しており、そのカネの力を背景に政府への影響力を業界団体が行使している。
保育園を増やせと気軽に言うのは、一般国民の感覚から言えば普通のことだが、本気でやるとなると既得権者との「戦争」になるので、安倍政権といえどもおいそれとは出来ないだろう。
安倍政権に本気で既得権排除を国民が要求するなら、問題に対する理解を深めること、年単位で安定した支持を与えること、マスコミを無視すること、といった心構えが必要になるが、そのことの方が非現実的である。

生活水準について

保育料金が高すぎて生活を圧迫する問題は、上記の利用券システムが導入されれば軽減されるが、一般的な話として、生活必需品の価格を下げることが有効であるし、必要である。
日本の場合、広範な分野において、政府による価格のつり上げが行われ、国民の生活水準を引き下げている。
生活水準についてのよくある誤解は、「所得が低いことが生活水準の低さである」というもの。
生活水準とは、モノやサービスを利用できる量が多いことで向上するのであるから、不当につりあげられた価格を下げれば、所得が上がらなくても生活水準は向上する。
生活の基本は衣食住だが、衣服については輸入によって安価なものが出まわるようになっているので問題ない。
住については、都市部での建設規制の緩和が必要。都市において、低層住宅がひしめいている非効率が、住むことのコストを不当に引き上げている。容積率・幅員・日照権についての規制をゆるめ、中高層住宅の供給を増加させることが求められる。
食については、農業の効率化が必要。減反政策の廃止・規模拡大への動機付け・関税を撤廃し、専業農家に直接補助を与えることが必要。
TPPで問題になっている重要五品目は、国民が日常的に摂っている品目であるので、本来なら関税を撤廃して価格低下させることが必要なのだが、実際にはその逆を目指して交渉している。
関税を撤廃する代わりに、専業農家には補助金を入れるだけで農家は維持できる。また、日本には必要のない農業も存在するだろう。トウモロコシは日本でほとんど作っていないので、ほぼ100%を輸入しているが、それで問題が発生しているわけではない。
日本に向いた農業、日本人が特に好む農産物栽培を残して、どうでも良いものは放棄することも必要。

私見

  • 働く時間の柔軟化。アルバイトではなく、働く時間を短くすることができる労働形態が必要。その期間は賃金を減少させる。子育てが終了したらフルタイムに復帰できるようにする。
  • 出産・育児期間は男も休めるようにする。休む形の柔軟化。連続して休まなくても、週休二日が三日になるような形も有効。その期間は賃金を減少させる。
  • 様々な就労形態を持つ人々の組み合わせ。フルタイム、週休三日、アルバイト、半日労働、などの組み合わせで、コストをおさえながら、出産・育児のための休みを各々の人が取れるようにする。