人口減少社会であっても、移民は必要ない

【日曜講座 少子高齢時代】外国人「単純労働」拡大は新たな少子化招く要因に 論説委員・河合雅司 +(1/3ページ) - MSN産経ニュース
要約。

  • 人手不足の緩和のため、政府は女性や高齢者の活躍促進、ロボット利用、外国人の受け入れ拡大を掲げる。東京五輪などで需要増が見込まれる建設業に続き、造船業でも要件を特例的に緩和することにした。
  • 政府・与党には外国人の単純労働について「いずれ解禁はやむを得ない」との声も強い。
  • 高度成長期の労働力人口は年1%程度しか伸びていない。機械化や技術の進歩が寄与した。
  • 労働力人口が激減する日本に求められているのは、高賃金労働者を活用しながら、他国に負けぬ付加価値の高いサービスを生み出すビジネスモデルへの転換。
  • 出生率の回復なくしては人口問題の根本解決はありえない。

一つ目。
現在の人手不足を時限的に補う策として、外国人労働者を入れるのだということは確かなものにしなくてはならない。ここで入れた外国人労働者には、帰化申請できないという縛りがあるのだと思うが、無いなら設定するべき。
女性や高齢者の活用をするのもいいが、女性労働者の場合は特に、出産・育児と両立し得る制度の設定がなされるのかどうかが重要。
ロボットの活用を推進するには、まず需要が安定していることが必要。そのためにも金融政策を活用し続けなければならない。モノやサービスが売れなければ、ロボットの活用は進まないだろう。
需要が安定し、人手不足が基調になることも、ロボットなどの設備投資が行われる条件になる。
設備投資がすすんで人手が少なくて済むようになると、労働力が他の産業に解放されるので、労働力が移動しやすくなるような構造改革も求められる。
日本ではあまり意味のない学歴差別があるが、日本の学校教育は基本的な知識を教えているだけであって、社会に出てからの仕事上のパフォーマンスとは関係ないことが多い。
ビジネスに必要な基本動作やマナー、知識・技能をを高校や大学でも教えるようにするのが実践的だと思われる。
産業界から学校に対して、どのような知識や技能が不足しているかを伝えるようにすれば、若者たちは勉強の指針がつかめるだろう。


二つ目。
単純労働者を入れるということと、ロボット化を進めるということは矛盾すると思われるので、政府与党がよく考えているとは思えない。いわゆる「お偉いさん」なら様々な事情に通じた上で意見を述べているのだろう、と我々は考えがちだが、そのようなことは全然ない、と、金融政策まわりの出来事で個人的によくわかった。
金融政策と財政政策の区別や、為替レートの事情などと全く把握しないで意見を口うるさく述べる「お偉いさん」が普通だという実態を見た以上、おそらく移民問題でも現状や問題点を理解せずに感覚で物を言っているだけの人間が多いと思われる。


三つ目。
これはその通りなのだろうから特になし。


四つ目。
高付加価値のサービス業。
高付加価値のモノやサービスを売る産業構造への転換ということが理念としては良く語られるが、イメージしにくい。
国内・海外の富裕層向けに高級料理や高級車を買ってもらうとか?
付加価値はコストを下げることでも実現するので、一般的な価格のモノやサービスでも、賃金以外のコストを大幅に削ることに成功すれば、「高付加価値産業」にはなるだろう。
そのためには各産業で、なるべく少ない人数で生産できるように生産性を上げること、価格を高止まりさせている不要な規制を取り払うことが必要なのだろう。
価格を高止まりさせたり、雇用が増えない元凶としては、各界の参入規制が挙げられる。
特に、社会保障分野での参入規制を取り払うことによって供給の増加、それに伴う雇用の増加が期待できる。


五つ目。
根本的な問いだが、人口減少は本当に悪いことなのか?
人口減少が問題になるのは、社会の仕組み、なかんずく社会保障が人口増加を前提にしたシステムであるため、維持可能性や財政に危機をもたらしているというだけであり、人口減少にかかわりなく存続できる制度にすれば、人口減少社会であっても何の支障も生じないだろう。
人口が減少することが、経済規模と軍事力に悪影響を齎すという話もあるが、憲法改正をしない限り自衛隊が外征することはないのだから、日本の人口が半減したとしても防衛に問題が生じるとは考えにくい。
軍事分野でも無人化が進んでいることも合わせて考えると、人口減少が国力の低下をもたらすことは無いだろう。