金融政策への見識を深める

一般市民であっても或る程度の素養がないと、経済政策を評価することはできません。

「お上」がちゃんと振る舞ってくれる社会であれば一般市民がのほほんとしていても問題はありませんが、残念なことに日本はそのような国ではありません。

常に目を光らせていないと社会を崩壊させかねないような私利私欲まみれの愚行を延々と続けてしまうのが、私たちの社会の公務員たちです。

今回は幸運にも安倍晋三総裁が正しい経済政策を実行する信念を持ってくれていますが、このように運頼みでは今後も日本の行く末は危ういものになります。

公務員、マスコミ、フリーであるかどうかを問わず「ジャーナリスト」、「識者」といった人々はとにかくウソをつきます。日常的にウソをばらまいているといっても過言ではありません。

彼らがそのように振る舞うのは、古代の荘園領主の如き収奪特権をもった公務員たちと仲良くしておく方が、社会的・経済的利得があるからです。

私たちの社会は「お上」が腐敗しやすい文化特性、というか日本の「お上」が腐敗していなかった時代はないのですけれども、ともあれそのような特徴を持っているのですから、そういった劣悪な部分が全体を侵食するのを防ぐためには各分野の政策に見識をもった一般市民が増えていく必要があります。

自分の日常生活に必要のない素養でも、関心がある分野については自発的に勉強するような自立性が広まることが重要ではないかと思います。

**アメリカと日本、彼我の差

アメリカでは今回、2.5%のインフレ率まで許容し、6.5%の失業率を達成するまで金融緩和を続けると発表しましたが、この政策に見られるアメリカと日本の差は根本的な部分で非常に大きいものです。

米国では、

  • マイルドインフレが経済に有益である。
  • デフレはとにかく回避するべきで、デフレよりはやや高いインフレがマシ。
  • 金融政策でインフレ率を上げることができる。
  • 金融政策で失業率を下げることができる。つまり実体経済を好転できる。

というのが前提です。

しかるに日本では、上記の前提が全て共有されておりません。

安倍総裁やリフレ派議員を除いて、ほとんどの「指導層」が官民問わず、上記の前提、政策の根幹を理解していない水準にあるのが日本社会なのです。ジャーナリズムも同様。

アメリカと日本を比較するとき、日本がアメリカに負けるのは物量のせいだ、という意見が一般的に見られますが、これは戦争も含めて言えることですが、完全な間違いです。

日本はいまだ、アメリカの指導層がもっているような教養・見識をもつことができていませんし、それらの素養を人々に持たせるような仕組みの構築にも思い至っていない段階です。

豊かになってしまったので今ひとつ考えつかないことですが、実は日本はまだ何となく近世からの延長を続けているのではないかと思います。

自分たちで自覚的に社会や思想の刷新を行わなかった、明治時代には行われたと思いますが、その後途絶えたことによって進歩が不十分だったのではないかとも思われます。