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【EU危機】納得のいかない記事やのう。

社説:正しい緊縮政策のあり方
何かこう、全体的に変な記事。
わかっていることをわかっていない振りをしているような…

長期的に経済成長を遂げるためには健全な国家財政が必要だという事実とは別に、緩和的な財政政策は当面の経済成長に2種類の悪影響も及ぼす。
 第1に、債券市場で自己成就的なパニックが生じるリスクが出てくる。パニックになれば、既に影響を受けている国々で見られる多大なダメージが民間セクターと公的セクターの両方に及ぶ。
 第2に、顕在化するには比較的長い時間がかかるが経済成長へのダメージは同じくらい大きい悪影響として、大幅な財政赤字が続いて債務残高が急増すると企業のアニマルスピリッツが冷え込みかねないということが挙げられる。これでは、財政赤字を出して良い政策を講じても、民間企業の支出の減少でその効果が打ち消される恐れがある。
経済学は、財政支出を伴う景気刺激策が経済成長に直接もたらす影響についてはいろいろと教えてくれるが、債券市場の心理(自己強化的であり、それゆえ本質的に予測不可能なもの)や企業の心理にどんな結果をもたらすかについては、あまり教えてくれない。
 確実に言えるのは、上述の悪影響が財政支出による経済成長押し上げ効果を上回るかどうかは、国により異なるということだ。

経済学の理論ではすくいきれない現象が存在する、という趣旨だと思いますが、どうもわかりにくいですね。
具体例があると良かったです。
財政政策を今使うと債券市場でパニックを誘発する、ということの意味を別の表現も用いて説明して欲しいところ。
推測するに『財政が破綻する可能性を投資家が見出して手持ちの債券を売り始める、新たには買わない』という事象が発生するということでしょうか。
理屈としてはあるのかもしれませんが、現実に起こっているのは『緊縮財政⇒経済悪化⇒財政の見通し悪化⇒金利上昇』という流れのような気がするので、記事の主張とは逆ではないでしょうか。
緊縮財政によって財政赤字スパイラルが起こりそうなのを嫌って国債が買われないという解釈の方が自然な気がしますし、そうであるなら経済を好転させることを投資家に信じさせる方がむしろ安心を呼ぶはずですが…
また、財政赤字が累積すると企業のアニマルスピリット(設備投資意欲)が低下する、ということのつながりがよくわかりません。
設備投資の意欲はまず金利に影響される筈なので、スペインなどはむしろマズいでしょう。
また、設備投資の意欲は企業が経済に対して良い見通しを持っている時に上がる筈なので、経済を悪化させるような緊縮政策はアニマルスピリットを低下させると思います。
何より、悪い状況を設備投資が打開するという主張は少なくともリフレ派の本の中では否定的に評価されており、経済がよくなってからでないと設備投資は盛り上がらないとか書かれています。なぜなら、見通しの悪い時に社運をかけるような決断をするのは普通ではないからです。
EUも4%のインフレ目標+金融緩和を行なって、株価上昇⇒バランスシート好転⇒消費・設備投資・貸出余力や意欲の増加、インフレ期待⇒企業業績上昇の期待⇒設備投資増加、通貨安⇒輸出増加、といった需要刺激をする方が良いように思いますが。

米国では、財政支出を伴う景気刺激策が有効だという主張に分がある。比較的閉じられた経済であるため、政府支出はそれほど外に漏れることなく内需を押し上げる
 また米国債市場はその規模が10兆ドルと極めて大きいため、概ね、買い手に選択の余地がほとんどない専属市場となっている。昨年夏の格下げに対する平静さで分かったように、投資家は事実上、米国債市場を見捨てることができないのだ。
 中央銀行の姿勢が緩和的であることも助けになる。度合いこそ米国に比べると小さいものの、同様な考え方は日本にも当てはまる

ここも良くわからないなぁ。
「閉じた経済」とは「貿易の比率が少ない」ということですかね。
日本もGDPに占める貿易の比率は高くないですが、金融緩和をやらないで財政政策ばかり行ったせいで経済はさして良くならずに借金が積み上がる、という事態に陥っていますね。マンデルフレミング効果というやつです。
後段については何をか言わんや。
日銀が金融緩和に否定的なのは、ここのところの白川総裁の言動で明らかですし、現に円高とデフレを招いているわけで、フィナンシャル・タイムズがそれを知らないはずがないのにこのようなおかしな記事を書くのは何か事情があるのでしょうか?

英国では、財政政策の緩和は効果よりも大きな害を生む(もっとも、歳出削減の方法については改善の余地がある)。英国よりも構造的な財政赤字が多いのは、先進国の中では米国、日本、アイルランドだけだ。怯えた投資家は、簡単に資金を外国に移せる。

しかし緊縮財政によって経済が縮小していますよね。せっかく金融緩和していても緊縮策が足を引っ張っているのは事実ではないのでしょうか。それともあの現実には別の解釈があるのでしょうか。

中小規模の経済国が直面するトレードオフを改善できるのは、世界的に調整された財政政策のみだ。真の成長協定(欧州のみならずグローバルな協定でなければならない)があれば、安全な国々が需要拡大の任務を引き受け、危険な国々が緊縮策を多少緩めることができるはずだ。これには、我々が目にしてきたものより強力なリーダーシップが必要になる。

これも受け止め方に困る内容です。
「こんな合意はできない、できても時間がかかり過ぎてクラッシュが先にくる事がわかっていて主張している」のか、「もうEUだけじゃどうにもならないので助けてくれ」という本音なのかよくわかりません。
需要拡大を引き受けて欲しいという要望が本当にあるなら、それを日本に要求するのは利害が一致する面がありますね。
日本に4%のインフレ目標を採用させるか、5%の名目GDP目標を持つように働きかける、メディアを使って日本国民にその考えを浸透させるなどしてもらえるとこちらも助かるんですよね。
日本が金融緩和すると通貨安で輸出が伸びますが、日本国内の生産のための素材や部品の需要、商品を消費する需要が伸びて輸入も伸びますので。
「需要拡大の任務を引き受ける協定」というのが経済の原理を無視した、社会主義国のノルマみたいな政治的なものであるなら上手くいかないと思いますので、その辺はよく仕組みを考えて欲しいとは思います。