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バーナンキ教授とバーナンキ議長

最初に書いておきますが、バーナンキ氏はよくやっていると私は思います。
日銀とは比較にならないので、「バーナンキがああだから日銀も免罪」とか「やっぱ量的緩和は要らない」とかいう詭弁には乗りません。
しかし、所謂リフレ政策についてよく理解するのに調度良い記事がありました。
「ここ地球からバーナンキへ:バーナンキ議長はバーナンキ教授の声に耳を傾けよ」by Paul Krugman – 道草

バーナンキは今日のFRBにとってのアドバイスになるような具体的な提案をいくつか行っている。一つの手段は、FRBが金融市場でさらに大きな役割を果たすことだ。短期金利はゼロで、もはや下げられないかもしれないが、長期金利はそうではない。いつもは米短期国債だけを買っているが、FRBは長期国債や住宅ローン担保証券を買うことでそのポートフォリオを拡大させることができるし、そのことが結果としてそれらの資産の利子率を引き下げることになる。これは量的緩和という役に立たないことで知られる政策だ。

この辺で「クルーグマンがリフレは効果がないと言っている」とリフレ政策否定をする人がいますが、クルーグマンが否定しているのは量的緩和であって、金融緩和のことではないのです。この辺がわかりにくいところですが、説明をクドクドしたがらない人なのかもしれません。
私もインタゲのことを知ったのは10年以上前で、最初に読んだのがクルーグマンの著作でしたが、よくわかりませんでした(^_^;)
この辺の理解のための一例⇒「いまは増税すべきではない/クルーグマン」(EJ第3222号)[財務省の正体/48]{Electronic Jour} メジナ

クルーグマン/完全雇用に近いかたちにまで経済を戻せるようにかなりアグレッシブな財政拡張政策をとるべきです。さらには次の5年間に2~3%のインフレ率になるよう、金融緩和を組み合わせなければならない。そうすることで個人投資に対する真のインセンティブを提供し、ある程度、借金を削ることもできる。うまくいけばそこで、自律的回復を生み出せる可能性があります。
   ──『Voice』/2012年2月号

最初の記事からの引用に戻りますが、

もう一つの手段は、将来のFRBの政策に関する予想を変えることだ。今、投資家は、結局のところ、FRBがまた金利を引き上げ始めるまで経済が回復したとは考えないだろう。そのような将来のFRBのプランに関する予想が今度は現在の経済に重大な影響を与える。特に、金利を上げるまでどれくらいFRBが待つかに関する考えは将来のインフレの予想に主要な影響を与える。今のところは、投資家はインフレ率が2%以上になるとFRBが金利を引き上げると考えている。もしFRBがインフレの目標値を引き上げると決定すれば――そして、投資家がそれを信じれば――中期的、たとえば今後10年の予想インフレ率は高くなるだろう。

この辺で『予想』の重要性が語られます。
予想の重要性については日本のリフレ派の著作でも言及されていることで、「リフレ=カネをバラ撒く」という言説は、リフレ政策否定派の論者や新聞がおこなっているレッテル張りです。
日本でのインフレ目標唱道者の代表格である岩田規久男教授の著作でも予想の重要性が説明されており、私の理解はそれに基づいています。
デフレ克服とは逆の例ですが、過去に発生したハイパーインフレが実際の貨幣増加量とは連動せずに収束した事実において『予想』の効果がわかりやすく書かれています。

インフレとデフレ (講談社学術文庫)

インフレとデフレ (講談社学術文庫)

インフレについてはどうか? いわゆるヘッドライン・インフレ率、別名消費者物価指数は大幅に変動している――景気後退最悪期のデフレ、去年の9月に年換算でほぼ4%に達したインフレ。しかしながら、これらの大きな変動は主に原材料価格の変動によってもたらされたものであり、そういったものは根底にあるインフレ圧力の指標としては貧弱なものとFRBは考えている。代わりに、彼らは変動的なエネルギーや食品の価格を除外したコア・インフレのような測度に焦点を当てることを好むが、それらはまずまず落ち着いている。

この点、FRBは正しかった。

インフレ目標が『伸縮的』でなければならない理由がここですね。
原油や食料品の価格は上下しやすいですから、そういうものに引っ張られてインフレ率をコントロールすると、『本当は不況対策として金融緩和しなくてはならないのに引き締めてしまった』といった失敗に陥ります。